課題
プラントの情報は、三種類の図面と数千冊の図書に分かれている。
配管と計装のつながりは P&ID に、給電のつながりは単線結線図に、制御のつながりはロジック図に描かれます。図面は系統ごとに作られるので、1台の機器のつながりも三種類の図面に分かれます。
給水ポンプが起動しない場面で考えてみます。吸込み側の弁と液位は P&ID で、電動機への給電は単線結線図で、起動を許す条件はロジック図で確かめます。ポンプの定格はデータシートにあり、過去の点検の記録は保守の台帳にあります。担当者はこれらを順に開き、頭の中でつなぎ合わせて原因を探しています。
図面のほかにも、仕様書、データシート、取扱説明書、計算書、設計基準など、数千冊の図書があります。多くは PDF の文章や表のままで、どこに何が書いてあるかは開いてみないと分かりません。設計の考え方も、図書の中に散らばっています。
どの図面・図書のどこを見ればよいかは、担当者の経験で決まります。経験のある人がいなければ、調べる時間は大きく延びます。引き継ぎも難しくなります。
仕組み
各機器をオブジェクトにして、三つのネットワークでリンクさせる。
Plantgraphy は、図面に描かれた機器を一つずつオブジェクトとして扱います。P&ID からは配管・計装のネットワークを、単線結線図からは給電のネットワークを、ロジック図からは制御のネットワークを作ります。三つの図面に出てくる同じ機器は、一つのオブジェクトにまとめます。
こうして、ポンプのオブジェクトから上流の弁へも、給電元の盤へも、起動を止める条件へも、同じ操作でたどれるようになります。図面ごとに分かれていたつながりは、プラント全体で一つのグラフネットワークになります。
図書
数千の図面・図書をグラフネットワークにし、構造化して結びつける。
Plantgraphy は、図面だけでなく、すべての図書をグラフネットワークに取り込みます。PDF の文章や表のままだった非構造化の図書は、中身を構造化します。構造化した内容は、二つの方向に結びつけます。
一つはアセットです。データシートの値や取扱説明書の記述を、その機器のオブジェクトに結びつけます。もう一つは技術分野です。設計の考え方を Philosophy として、機械・配管・電気・計装・制御といった分野ごとに整理します。
ポンプのオブジェクトからは、データシートや取扱説明書の該当箇所へたどれます。電気分野の Philosophy からは、電源構成の考え方を書いた図書の該当箇所へたどれます。
アセットに結びつける
図書の中身を構造化し、記述や値を機器のオブジェクトに結びつけます。
Philosophy として整理する
設計の考え方を、技術分野ごとにまとめます。
機器の情報
各オブジェクトに、仕様と運転・保守の情報を結びつける。
結びつける情報は二つです。一つはデータシートに書かれた仕様で、型式・定格・材質などの値です。もう一つは運転と保守の情報で、運転の条件や点検・修理の記録です。
値には、どの図書のどの頁から来たかを残します。画面で値を選ぶと、元の図書のその頁が開きます。図書どうしで値が違うときは、どちらかに決めずに両方を並べて示し、確定は人が行います。
AI
AI がグラフネットワークをツールとして利用し、情報を分析する。
AI には、ネットワークをたどるツール、制御の条件を引くツール、機器の情報を引くツールを渡します。AI は質問に合わせてツールを呼び、返ってきた結果から答えを組み立てます。たとえば、次のような質問です。
- このポンプの給電元はどの盤か
- この盤を止めると、どの機器が止まるか
- このポンプの起動を止める条件は何か
- 電源構成の考え方は、どの図書に書かれているか
答えには根拠になった図書と頁が付くので、担当者は図面を開いて確かめられます。台帳を書き換える操作は、AI が提案し、人が確かめてから反映します。
データの扱い
図面のデータは、お客様の PC の外へ出さない。
図面からネットワークを作る処理は、お客様の PC の中で行います。図面の画像は外部へ送りません。外部の AI サービスを使うかどうかはプロジェクトごとに選べ、初期設定では使いません。使う場合も、AI に渡すのは機器の番号や値と根拠の位置までで、図面の画像や本文は渡しません。
効果
探す手間と、見落としを減らす。
調べる時間
図面と図書を行き来せずに、一つの画面で機器のつながりと関係する図書をたどれます。
影響の確認
配管・電気・制御をまたいだ影響を、ネットワークでまとめて洗い出せます。
知識の引き継ぎ
設計の考え方が分野ごとに整理され、どの図書のどこを見るかが担当者の経験に頼らなくなります。